最近にわかに騒がれているのが「ベーシックインカム」と呼ばれる制度です。

「公平な所得の分配」などと言われる一方で「バラマキの極み」などとも揶揄されるこの制度…どんな内容なのでしょうか。

今回はベーシックインカムのメリットデメリットや日本で導入される可能性について見ていきます。


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ベーシックインカムとは?メリットデメリットを紹介!

ベーシックインカムを日本に導入する可能性

ベーシックインカムとは、全国民に対して最低限度の生活を送るのに必要とされる額を一律無条件で定期的に給付する制度(構想)です。

現行の社会保障制度は、特別な事情が発生した時に条件を満たせば支給されるものです。

例えば、年金なら65歳を迎えたら、失業保険なら失業したら…といった具合ですね。

「既存の社会保障制度を取っ払って新たにベーシックインカム制度を導入してはどうか?」との気運が世界中で広がっています。

公平かつ効率な所得配分が成されて人々の生活水準が向上し、引いては国家経済の上昇につながるとされています。

これまでの社会保障制度は仕組みが複雑でしたが、定期的に一律支給となれば誰でもわかりやすくその恩恵に預かることができます。

また生活に必要な最低限度の収入が保障されているとなれば、生活費を稼ぐために心身を削って働くこともなくなります。

そうしてできた余裕を勉強や技術を磨く時間に充てて未経験の職種に飛び込む人も増えるだろうと考えられています。

更に育児へ専念できることにより少子化対策になる、賃金が低い仕事にも人が来るようになるといったメリットもあると言われています。

これらは総じて国の経済力向上に繋がるものだからやるべきだ、というのがベーシックインカム賛成派の意見です。

ただデメリットや反論もいくつか挙がっています。

財源をどこから捻出するのか、雇用の機会を奪うのではないか、労働意欲が低下するのではないか、の3点です。

これらについて日本でのベーシックインカム導入の可能性も交えて見ていきましょう。

ベーシックインカムを日本に導入する可能性は?

ベーシックインカムの可能性

日本も将来に向けて検討すべきという意見はあるものの、課題と反対意見が多いのが現状です。

1つ目は財源の問題です。

例えば、年金生活世帯(夫婦2人)の平均消費支出(24万円/月)を基準に月12万円を全国民に支給すると仮定すると、年間173兆円の財源が必要という試算が出ています。

既存の社会保障給付費(年金・医療・介護などの合計)の全額を充てても117兆円…残り50兆円以上をどこから捻出するかの問題があります。

増税となれば低所得者層のための増税を嫌って富裕層が海外へ出てしまう…といった懸念もあります。

続いて2つ目は雇用の機会を奪うのではないかとの懸念です。

これまで企業の雇用は「国民の生活を保障する」という側面も持っていました。

しかしベーシックインカムで生活は保障されていることを理由に必要最低限度の人材しか雇わず、不要な人材は削減する企業が続出するのではないかと考えられています。

また増税ともなれば人件費を抑えたいというのは全企業の本音でしょう。

就職競争は激化し、未経験の職種へのチャレンジのハードルは高まることが予想されます。

ましてや日本の労働市場は新卒一括採用、正規雇用と非正規雇用で給与や福利厚生が大きく異なるなど硬直的で転職のハードルは高いです。

結局のところベーシックインカムが導入されても所得の格差は縮まらない、という意見もあります。

もう一つ、ベーシックインカムによって打撃を被るのが公務員や官僚です。

複雑な仕組みを撤廃しシンプルな制度にすれば業務処理に必要な人員が減るので公務員の人員削減に繋がります。

これが官公庁を主にしてベーシックインカムへ反対の声が大きい理由でもあります。

3つ目は働かないでも生活に困らないことで、国民の労働意欲低下が不安視されています。

しかしベーシックインカムは”既存の社会保障制度を全廃して”導入される前提にあります。

つまりは失業や老後に特別な支給は無く、いざという時に備えて自ら貯蓄をしなくてはなりません。

この動機があるためベーシックインカム制度は労働意欲の低下には繋がらないとの意見もあります。

ですが問題点2つ目で述べたように雇用のハードルが上がったことで望む職に就けず、収入が増えない可能性は排除しきれません。

所得の格差は固定されたまま病気や老後を迎えれば、結局のところ低所得者の救済には繋がらないかも知れませんね。

このように日本でベーシックインカムを導入するにはハードルが高く、可能性は低いのが現状です。

しかし一方で民進党が日本型ベーシックインカム構想を提唱(https://www.minshin.or.jp/search/ベーシックインカム)しているなどの動きもあります。

ベーシックインカム導入は日本でも大きな論点となること間違いなしでしょう。

ベーシックインカムの導入国はあるの?

ベーシックインカムのメリットデメリット

ベーシックインカムを正式に導入した国は2017年3月現在まだありません。

ただ試験的に導入した例はイタリア・インド・ケニアなどいくつかあります。

例えば最も古い例ではカナダのマニトバ州で1974年から5年間、ベーシックインカムの原型とも呼ばれる「MINCOME」と呼ばれるプログラムが行われました。

目的は「無条件で収入が与えられると人々の労働意欲は失われるのか」を明らかにすることでした。

しかしプログラム期間中に当時の政権が力を失い、お蔵入りとなってしまいました。

最新の例では2017年1月、フィンランドが国家レベルで試験的なベーシックインカムの導入を開始しています。

無作為に選ばれた失業者2000人に2年間で月560ユーロ(68000円)を給付し、ベーシックインカムの導入が失業率の低下に影響をもたらすか調べるものです。

このようにベーシックインカムは各国が、数年規模で試験的に行っているのが現状です。

労働意欲や失業率といった問題にどう影響するのか、結果が出るのはこれからといえるでしょう。

好調な結果が多数出れば日本でも導入があり得るかも知れませんね!
 

以上、今回は

について紹介しました。





最後までお読み頂いてありがとうございました。