アービトラージ(裁定取引)とは、同じ暗号資産(法令上の呼び方は「暗号資産」、一般には「仮想通貨」とも呼ばれます)の価格が取引所ごとに違うとき、その差を利用する取引のことです。
「アービトラージは儲かるのか」と気になる方も多いと思いますが、この記事では利益を約束したり、特定の取引所やツールを勧めたりはしません。
仕組みと、計算どおりに利益が残らないことがある理由、かかる費用とリスクを整理します(2026年10月8日確認)。
アービトラージの仕組み

たとえば、次のような価格差があったとします。
取引所A:1BTC=100万円
取引所B:1BTC=102万円
取引所Aで1BTCを買い、取引所Bで1BTCを売ると、計算上は差額の2万円から手数料などを引いた額が手元に残ります。
ただし、これは「買ってから売るまでのあいだ、どちらの価格も動かない」という前提の計算です。
取引所ごとに価格の差が出る理由の一つに、取引所によって売り注文と買い注文の量やタイミングが違うことがあります。
価格差がいつ、どれだけ開くかは、前もっては分かりません。
計算どおりに利益が残らないことがある理由
価格差があっても、実際には次のような理由で、計算どおりの差額が残らないことがあります。
売買や送金のあいだに価格が動く
暗号資産の価格は常に変動しています。
金融庁も「暗号資産は、価格が変動することがあります。」と注意を呼びかけています。
- 注文を出しても、すぐに約定するとは限りません。約定を待つあいだに、売る側の取引所の価格が下がることがあります
- 取引所Aから取引所Bへ暗号資産を送る場合、送金が反映されるまで時間がかかります。そのあいだに価格差が縮んだり、逆転したりすることがあります
手数料で差額が消える
アービトラージでは、1回ごとに次のような費用がかかります。
費用は取引所によって違い、変更されることもあるため、利用する取引所の最新の手数料表で確かめてください。
- 売買の手数料(手数料が無料でも、買値と売値の差=スプレッドが実質的な費用になる場合があります)
- 暗号資産の送金・出金手数料
- 日本円の入金・出金にかかる手数料
価格差が小さいときは、手数料を引くと差額がほとんど残らない、あるいはマイナスになることもあります。
送金先の入力ミスに注意する
暗号資産を取引所から取引所へ送るときは、送金先のアドレスを入力します。
送る前に、送金先のアドレスと送る通貨の種類を必ず確かめましょう。
間違えたときの扱いは取引所によって違うため、利用する取引所の案内で確認しておくと安心です。
送金しない方法は、まとまった資金が必要になる
送金の時間を避けるために、あらかじめ両方の取引所に日本円と暗号資産を置いておき、安い方で買うのと同時に高い方で売る方法もあります。
この方法は送金を待たずに済む一方で、両方の取引所に資金を置いておく必要があり、売買を重ねるうちに資金が片方の取引所に偏ることがあります。
偏りを直すために送金すれば、そのときに手数料や価格変動の影響を受けます。
税金の扱いは国税庁の案内で確かめる
暗号資産の取引で生じた利益の課税関係について、国税庁は「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」を案内しています。
売買の回数が多いと、取引の記録と損益の計算も手間になるため、早めに確認しておきましょう。
出典:国税庁「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」
「必ずもうかる」という勧誘に注意
上で見たとおり、アービトラージにも価格変動や手数料による損失の可能性があり、必ず利益が出る取引ではありません。
金融庁は利用者向けのページで「暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えています。詐欺や悪質商法に御注意ください。」と呼びかけています。
同じページの注意喚起の欄では、政府広報オンラインの記事「暗号資産の「必ずもうかる」に要注意!マッチングアプリやSNSをきっかけとしたトラブル増加中」(令和4年2月)も案内されています。
取引所を使う前には、金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」で、登録を受けた事業者かを確かめておきましょう。
出典:金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」、金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」
暗号資産の取引で困ったときの相談先
金融庁は「暗号資産交換業者は登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か確認してください。」と呼びかけています。
アービトラージをうたう勧誘を受けて不安なとき、トラブルにあったときは、次の窓口に相談できます。
- 暗号資産を含む金融サービスの一般的な相談:金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811(平日10時〜17時。IP電話からは03-5251-6811)
- 暗号資産の不審な勧誘の相談:消費者ホットライン 188(局番なし)
- 詐欺と思われるトラブルの相談:最寄りの警察本部・警察署
出典:金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」
当局が処分や判決で公表した事例と、勧誘で見られる特徴は、次の記事にまとめています。
▶ 仮想通貨の詐欺コイン一覧!当局が公表した事例と特徴、被害額・件数

