ビットコインは2016年12月に時価総額が140億ドル(約1.5兆円)を超えて、ますます熱い市場と言えるでしょう。
しかし同時に一つの大きな問題が浮上してきました。
それがスケーラビリティ問題、ビットコインの今後に大きく影響する重大な問題です。
今回はスケーラビリティとはどんな意味か、どんな問題かを見ていきましょう。
スケーラビリティの意味は?
スケーラビリティとは「拡張性」を意味するIT関連用語です。
データ量の増大にどれだけ柔軟に対応して処理できるか、の度合いを表しています。
ビットコインのスケーラビリティ問題って?
ビットコインのスケーラビリティの問題、つまりは増大してきたデータ量に処理能力が対応しきれない問題のことを指します。
ビットコインは現在7取引/秒しか処理できず、最大でも一日604800取引までしか処理できない状態になっています。
規模の比較としてVISAやMasterなどのサービスは1日4億~5億の取引を処理できる…といえばどれだけ低い数値かわかりやすいかと思います。
ビットコインの時価総額は2016年12月に140億ドル(約1.5兆円)を超えました。
それだけ多くの人がビットコインに注目している証であり、同時にこれからますます参入者が増え続けることが予想されるでしょう。
処理能力を上回る取引が行われると処理の遅延や最悪取引が停止される可能性もあり得ます。
スケーラビリティ問題の原因は?
ビットコインはブロックサイズ(データ容量)に1MBの制限を設けているのがスケーラビリティ問題の原因です。
「ではその制限を引き上げれば解決するのでは?」と思うかもしれません。
確かに技術的にはクリアできるのですがブロックサイズを増やすと今度は処理能力面での問題が出てきます。
仮にVISAやMasterと同等の取引処理をこなせるまでにブロックサイズを増やすと1日に130GB近いブロックチェーンデータが生成されます。
これを処理するには利用者一人当たり47TBの容量を消費しなくてはなりません。
現在市販されている外付けハードディスクの容量が8TB、といえばどれだけ膨大なデータ量かはわかると思います。
個人レベルのパソコンと回線では到底処理しきれないデータ量ですから参入のハードルも高くなります。
利用できる人が少なくなれば「誰でも参加できる」ビットコインの大きなメリットが失われてしまいます。
引いては中央集権化、要求されるスペックを用意できる組織レベルの利用者がビットコインを牛耳ってしまう可能性も出てきます。
ですからブロックサイズの制限を引き上げるだけではスケーラビリティ問題は解決できません。
スケーラビリティ問題は解決できない?
現時点で具体的なめどは立っていませんが解決策はいくつか挙げられています。
例えばSegWit(Segregated Witnessの略)の実装、日本語に訳すと「署名の分離」でしょうか。
専門的な話を避ければデータを圧縮してブロックサイズを小さくしよう、ということです。
しかし圧縮できるブロックサイズは最高でも1/4程度、1日に処理できる取引が240万件に増えてもVISAやMasterと比較すれば到底解決したとは言えない数字です。
他にもLightning Networkを実装する案もあります。
一言で表すと多くの取引をオフチェーン(ブロックチェーンの外)で行おう、という話です。
大半の取引がオフチェーンで行えるようになればブロックチェーン内の取引量も少なくなりスケーラビリティ問題への対策になり得ます。
しかし「2016年10月に初めて送金を成功させた」とのニュースが出た比較的新しい技術のため、実用にはまだ時間がかかるとの見方もあります。
他にも根本の原因であるブロックサイズが変わっていない以上、ビットコイン利用者が増え続けることを想定すればその場しのぎの案だとの意見もあります。
ですがビットコインは世界一有名で利用者も多い暗号通貨です。
スケーラビリティ問題を解決しようとさまざまな人々、組織が動いています。
早期に解決のめどが立つことを期待したいですね。
以上、今回は
について紹介しました。
最後までお読み頂いてありがとうございました。