暗号資産のガス代とは?意味・仕組み・必要な理由

暗号資産のガス代とは?意味・仕組み・必要な理由 暗号通貨の基礎知識

ガス代とは?意味を整理する

ガス代とは、イーサリアムというブロックチェーン上で取引(トランザクション)を処理してもらうために支払う手数料のことです。ここでの「ガス」は、特定の操作を実行するのに要する計算量を測る単位を指し、その計算に対する支払いがガス代と呼ばれます(ethereum.org「ガスと手数料」)。

ethereum.org は、ガスを車にとってのガソリンにたとえ、ネットワークを動かす燃料だと説明しています(ethereum.org「ガスと手数料」)。

金額は、操作で使ったガスの量に、ガス1単位あたりの価格を掛けて求めます。この手数料は、取引が成功しても失敗しても支払われます(ethereum.org「ガスと手数料」)。

この記事では、題のとおり、ガス代の意味、仕組み、必要とされる理由、支払いに使う通貨、金額が動く理由を順に説明します。

夜の高速道路の立体交差を上空から写した写真

ガス代の仕組み

ガス・Gwei・ガス代の関係

イーサリアムでガス代の支払いに使うのは、ネットワーク固有の通貨であるイーサ(ETH)です。ガス1単位の価格は、ETHの小さな単位であるGweiで示されるのが普通で、1 Gweiは10億分の1 ETH(0.000000001 ETH)にあたります(ethereum.org「ガスと手数料」)。

Gweiは「giga-wei」を縮めた呼び名で、10億Weiを意味します。WeiはETHの最小単位です(ethereum.org「ガスと手数料」)。

単位 ETHに対する値
Wei 10-18 ETH(最小単位)
Gwei 10-9 ETH(ガス価格の表示に多用)
ETH 基準となる単位

出典:ethereum.org「イーサの技術入門」(Weiの値)、ethereum.org「ガスと手数料」(Gweiの値)

基本料金とチップ

POINT ガス代は「基本料金」と「チップ」の2つで構成され、基本料金はバーン、チップはバリデータへ渡ります。

支払うガス代は、基本料金(base fee)と優先手数料(priority fee、チップ)の2つに分かれます。基本料金はプロトコルが決める金額で、取引が有効と扱われるには最低でもこの額を払う必要があります。チップは、バリデータに取引を次のブロックへ入れてもらいやすくするために、基本料金へ上乗せする額です(ethereum.org「ガスと手数料」)。

基本料金は、直前のブロックの使われ方をもとに計算されます。ブロックの大きさが目標(ガス上限の半分)を上回れば上がり、下回れば下がり、1ブロックごとの変化は最大12.5%です(ethereum.org「ガスと手数料」)。

同ページには計算例があります。ETHの送金に必要なガスは21,000単位で、基本料金が10 Gwei、チップが2 Gweiなら、手数料は 21,000 × (10 + 2) = 252,000 Gwei(0.000252 ETH)になります。このうちバリデータが受け取るチップは0.000042 ETH、破棄(バーン)されるのは基本料金の0.00021 ETHです(ethereum.org「ガスと手数料」)。

項目 決める主体 行き先
基本料金 プロトコル バーン(破棄)
チップ 取引の送信者 バリデータ

出典:ethereum.org「ガスと手数料」の計算例

送信者は、支払ってよい上限(最大手数料)を指定することもできます。上限と、基本料金とチップの合計との差額は返金されます。使われなかったガスも返還されます(ethereum.org「ガスと手数料」)。

基本料金が破棄される理由

基本料金のバーンは、ブロックの作り手が取引を操作する力を妨げるため、と説明されています。ethereum.org の「イーサの技術入門」は、作り手が自分の取引を料金なしで入れたり、他の利用者の基本料金をつり上げたりできてしまう例を挙げています(ethereum.org「イーサの技術入門」)。

同ページは、仮に作り手が基本料金を受け取ると、一部の利用者へオフチェーンで基本料金を返金して手数料市場が不透明で複雑になる可能性もある、と説明しています。基本料金のバーンは、ブロックの作り手が取引を操作する力を妨げるものだと説明されています。

自動車の給油口に差し込まれた緑色の給油ノズルの写真

ガス代が必要な理由

イーサリアムでは、取引のたびに計算リソースが使われます。ethereum.org「ガスと手数料」は、その計算に支払いを求めることで、ネットワークがスパムに弱くなったり、終わらない計算に陥ったりするのを防いでいると述べています。

プログラムの誤りや悪意で生じる無限ループなどの無駄を避けるため、各取引には、使ってよい計算ステップ数の上限が設けられます。その計算の基本単位がガスです(ethereum.org「ガスと手数料」)。

イーサリアム上では、開発者が分散型アプリケーション(dapp)を作れます。すべてのdappが共有する計算能力には限りがあるため、誰がどれだけ使えるかを決める仕組みが要ります。ない場合、dappが誤って、あるいは悪意で資源を使い尽くし、ほかの利用者が使えなくなるおそれがあります(ethereum.org「イーサの技術入門」)。

悪意あるdappが無限ループの取引を送っても、取引はETHを使い切った時点で終わり、ネットワークは通常の状態に戻れる、と説明されています(ethereum.org「イーサの技術入門」)。

ガス代の支払いに使う通貨

イーサリアムでは、ガス代はETHで払う決まりです(ethereum.org「ガスと手数料」)。「イーサの技術入門」も、ETHは取引手数料の支払いとして受け入れられる基本的に唯一の形式だと記しています。

別のブロックチェーンの例として、ソラナでは、すべての取引に手数料が必要で、支払いはSOLで行います。手数料は基本料金と、任意の優先手数料からなります(Solana Documentation「Fees」)。

ソラナの基本料金は署名1つあたり5,000 lamportsで、半分が破棄され、半分がバリデータへ渡ると書かれています(Solana Documentation「Fees」)。ソラナの基本料金は半分がバリデータへ渡る一方、イーサリアムの基本料金はバーンされます。

赤やオレンジの光が点在する、立方体が連なったデジタルな抽象イメージ

ガス代が変動する理由

ガス代は固定ではありません。取引の実行に必要な計算の量と、その時点でネットワーク全体にかかっている需要によって変わります(ethereum.org「イーサの技術入門」)。

ethereum.org「ガスと手数料」は、ガス代が高騰する理由をイーサリアムの人気に求めています。需要が多すぎると、利用者は他の取引に勝つためにチップを高く出すことになります。また、スマート・コントラクトを使う複雑なアプリは多くの操作を行うため、多くのガスを消費します。

取引の種類でも必要なガスは違い、標準的なETHの送金は21,000単位のガスです。スマート・コントラクトを含む取引は、単純な支払いより多くの計算が必要で、ガス上限も高くなります(ethereum.org「ガスと手数料」)。

設定したガス代がネットワークの現在の要求額を下回ると、取引が滞留することがあります(ethereum.org「よくある質問」)。

ethereum.org「ガスと手数料」は、ほとんどのウォレットが、基本料金と推奨のチップを自動で設定すると説明しています。





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