暗号資産ウォレットとは
ethereum.orgは、暗号資産ウォレットを「ETHやその他のトークンの保有、送受信、アプリへのサインインを可能にするアプリまたはデバイス」と説明しています。
bitcoin.org の用語集(英語)は、ビットコインのウォレットについて、実際には秘密鍵を含んでおり、その秘密鍵によってブロックチェーン上でそのウォレットに割り当てられたビットコインを使えると説明しています。
この記事では、次の順で出典の記述を整理します。
- 暗号資産の定義とウォレットの役割
- 秘密鍵・公開鍵・アドレスの意味
- オフラインウォレット(コールドストレージ)、ウォレットの種類
- 取引所の口座とウォレットの違い、ethereum.orgが述べる資金の保管の違い
暗号資産とは何か(資金決済法での定義)
政府広報オンラインは、暗号資産を、インターネットの中だけでやりとりされる、通貨のような機能を持つ電子データと説明しています。紙幣や貨幣などの実態は存在しません。
同ページは、資金決済法において、暗号資産を次の性質を持つ財産的価値と定義していると説明しています。
- 不特定の者に対して、代金の支払いなどに使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドルなど)と相互に交換できる。
- 電子的に記録され、移転できる。
- 法定通貨又は法定通貨建ての資産(プリペイドカードや電子マネーなど)ではない。
同ページによると、以前は「仮想通貨」と呼ばれていましたが、令和2年(2020年)5月に施行された資金決済法の改正により、国際標準である「暗号資産」(crypto-assets)に呼称が変更されました。
同ページは、暗号資産は国家や中央銀行によって発行された法定通貨ではなく、その価値も保証されていないとしています。
ウォレットの役割(ethereum.org・bitcoin.orgの説明)
ethereum.orgは、ウォレットには残高やトランザクション履歴が表示され、資金を送受信する手段が提供されるとしています。
同ページは、ウォレットプロバイダーは利用者の資金を保管(カストディ)せず、イーサリアム上の資産を確認するための窓口と、それらを管理するためのツールを提供しているだけだと説明しています。
bitcoin.org の用語集は、ビットコインの各ウォレットについて、管理するすべてのビットコインの合計残高を表示でき、特定の相手に特定の額を支払えると説明しています。
秘密鍵・公開鍵・アドレスの意味

ethereum.org と bitcoin.org は、秘密鍵・公開鍵・アドレスを、次の表のとおり説明しています。
| 用語 | 出典の説明 |
|---|---|
| 秘密鍵 | 暗号署名によって、特定のウォレットからビットコインを使う権利を証明する秘密のデータ(bitcoin.org の用語集)。デジタルマネーを所有していることを証明し、それを使用できるようにするシークレット・コード(ethereum.org のウォレットのページ内のツールチップ(用語説明)) |
| 公開鍵 | 他の人があなたにデジタル通貨を安全に送金できるようにする文字列(ethereum.org のウォレットのページ内のツールチップ(用語説明)) |
| アドレス | ビットコインで支払ってもらうために、相手に伝える必要がある唯一の情報(bitcoin.org の用語集)。イーサリアムのアカウントにはアドレスがあり、デジタル資産を識別するために使われる(ethereum.org) |
秘密鍵とは
bitcoin.org の用語集は、秘密鍵を、暗号署名によって特定のウォレットからビットコインを使う権利を証明する秘密のデータと説明しています。同ページは、秘密鍵は、パソコン上(ソフトウェアウォレット)や専用デバイス(ハードウェアウォレット)に保存でき、リカバリーフレーズとしてバックアップすることもできるとしています。
同ページは、秘密鍵は対応するウォレットのビットコインを使えるため、決して明かしてはならないとしています。
ethereum.orgは、イーサリアムのアカウントは鍵のペアであり、そのうち署名に使われる鍵は秘密にしておく必要があると説明しています。
リカバリーフレーズについて、bitcoin.org の用語集は、ウォレット全体を復元できる単語の並びで、シードフレーズやニーモニックとも呼ばれ、入手した人は対応するビットコインにアクセスできるとしています。ethereum.orgは、シード・フレーズがウォレットを復元できる唯一の方法だとしています。
アドレスとは
ethereum.orgは、イーサリアムのアカウントを構成する鍵のペアのうち、一方の鍵は自由に共有できるアドレスを作成するために使われると説明しています。
同ページは、アドレスについて、受信トレイにメールアドレスがあるのと同じで、デジタル資産を識別するために使われると説明しています。
bitcoin.org の用語集は、ビットコインのアドレスを、物理的な住所やメールに似たものと説明しています。
ウォレットの種類

オフラインウォレット(コールドストレージ)
bitcoin.org のウォレット保護のページ(英語)は、オフラインウォレットを、コールドストレージとも呼ばれ、ネットワークに接続されていない安全な場所にウォレットを保管する方法と説明しています。
同ページは、オフラインでの取引署名について、全体のウォレットを持つネットワーク未接続のコンピューターが取引に署名し、ネットワークに接続したコンピューターが署名済みの取引を送信する方法と説明しています。署名できないコンピューターからは、侵害されても資金を引き出せないとしています。
ハードウェアウォレットについて、同ページは、ウォレットとしてだけ動作するよう作られた小型の端末で、ソフトウェアをインストールできないと説明しています。
ethereum.orgとbitcoin.orgが挙げるウォレットの種類
ethereum.orgは、アカウントに接続してやり取りする方法として、次の5つを挙げています。
- ハードウェアウォレット:暗号資産をオフラインで保管できる物理的なデバイス
- モバイルアプリケーション:どこからでも資金にアクセスできるようにするもの
- ブラウザウォレット:ブラウザ上で直接アカウントとやり取りできるウェブアプリケーション
- ブラウザ拡張機能ウォレット:ダウンロードして使う拡張機能で、ブラウザを通じてアカウントやアプリケーションとやり取りできるもの
- デスクトップアプリケーション:macOS、Windows、Linuxで資金を管理するもの
bitcoin.org のウォレット選択ページ(英語)は、ウォレットの種類ごとに、次の点を挙げています。
| 種類 | bitcoin.orgの説明 | bitcoin.orgが挙げる注意点 |
|---|---|---|
| モバイル | AndroidとiOSのOS向けのウォレット | 端末の損傷や紛失が資金の喪失につながる可能性がある |
| デスクトップ | Linux、Mac、Windows向けのウォレット | ビットコインを盗むマルウェア・スパイウェア・ウイルスの影響を受けやすい |
| ウェブ | ウェブブラウザーでアクセスするウォレット。追加ソフトのインストールは不要 | ウェブウォレットのプラットフォームがハッキングされると資金が危険にさらされる |
| ハードウェア | 資金をオフラインで保管できる高セキュリティのウォレット。資金を管理するときにコンピューターへ接続する | 適切なバックアップなしに端末を失うと、資金を回復できなくなる可能性がある |
取引所の口座とウォレットの違い

政府広報オンラインによると、暗号資産の入手・換金は、一般に「取引所」や「販売所」と呼ばれる事業者(暗号資産交換業者)を利用して行われます。同ページは、暗号資産交換業者は金融庁・財務局に登録することが義務付けられているとしています。
取引所に保管を委託する場合
ethereum.orgは、中央集権型取引所は、ウォレットをユーザー名とパスワードにリンクさせ、従来の方法で復元できるようにするとしています。同ページは、その場合、取引所に資金の保管(カストディ)を委託しており、取引所が財政難に陥った場合は資金が危険にさらされるとしています。
資金決済法第63条の11第2項は、暗号資産交換業者に対し、内閣府令で定めるところにより、利用者の暗号資産を自己の暗号資産と分別して管理することを義務付けています(e-Gov法令検索、2026年10月20日確認)。
bitcoin.org のウォレット保護のページ(英語)は、第三者が鍵を管理している場合、利用者はその第三者の安全性と誠実さに完全に頼ることになり、取引所やオンラインウォレットはハッキングされたり、破綻したり、資金へのアクセスを凍結したりしてきたとしています。
政府広報オンラインは、銀行や証券会社などの金融機関が破綻した場合は、利用者を守るための仕組みが国によって整備されているとしています。一方、暗号資産の取引所がハッキング被害を受けるなどして価値を大きく損なったり、交換業者が破綻したりした場合でも、利用者は補償を受けられないことがありますと記載しています。
ethereum.orgが述べる資金の保管の違い
| 区分 | ethereum.orgの説明 |
|---|---|
| 中央集権型取引所を使う場合 | 取引所に資金の保管(カストディ)を委託している |
| イーサリアムのウォレット | ウォレットプロバイダーは利用者の資金を保管(カストディ)しない。暗号資産にはカスタマーサポートがなく、鍵を安全に保管するのは利用者自身の責任である |

